これから自炊をしようとしている人へ

諸君 私はパスタが好きだ

諸君 私はパスタが好きだ

諸君 私はパスタが大好きだ

 

たらこパスタが好きだ

ツナマヨパスタが好きだ

ボロネーゼが好きだ

ナポリタンが好きだ

ミートソースが好きだ

きのこパスタが好きだ

カルボナーラが好きだ

ペペロンチーノが好きだ

パスタサラダが好きだ

 

我が家で 実家で

日本で イタリアで

アメリカで 中国で

洋食屋で 和食屋

コンビニで 屋台で

 

この地上で作られるありとあらゆるパスタ料理が大好きだ。

 

鍋から水が吹きこぼれない火加減を覚えるのが好きだ

プロが盛りつけの際に渦を巻きながら綺麗に載せた時など心が踊る

 

市販のソースを買ってあえるだけで終わる調理工程が好きだ

付属の小袋を開けた時に刻み海苔がちぎれなかった時など胸がすくような気持ちだった

 

先を揃えたパスタが鍋の中で花開くのが好きだ

結局手持ちの小さい鍋では容量が足らず菜箸で何度も刺突している様など感動すら覚える

 

湯切りが終わったパスタ共を皿の上に載せていく様などはもうたまらない

煮えたぎる鍋の湯が私の振り下ろした手とともに洗い物が溜まったシンクにベコベコと叩きつけられるのも最高だ

哀れな自炊派(レジスタンス)達が雑多な調理法(レシピ)で健気にも立ち上がってきたのを8分待って和えるだけの調理法がモチベーションごと木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える

ほとんどキッチンに立たず動画を見るのが好きだ

必死に続けるはずだった自炊が蹂躙されプライドが犯され殺されていく様はとても悲しいものだ

パスタの手軽さに押し潰されて殲滅されるのが好きだ

給料日前になり米とふりかけだけで夜を明かすのは屈辱の極だ

 

諸君 私はパスタを、悪魔のようなパスタ料理を望んでいる

諸君 私に付き従う非自炊派諸君

君たちは一体何を望んでいる?

 

 

よろしいならば優勝(パスタ)だ

 

 

我々は満身の力をこめて今まさに絞り出さんとするキューピーあえるパスタソース(たらこ)だ

だがこの暗い闇の底で半日間もの間堪え続けてきた我々に100gのパスタではもはや足りない!

 

200gを!

一心不乱のパスタ祭りを!

 

我らはしがない一人暮らし 同居人も持たぬ敗残兵に過ぎない

だが諸君は一食優勝の古強者だと私は信仰している

ならば我らで200gのパスタとキューピーの軍集団となる

 

我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連中を叩き起こそう

パスタを掴んでテープを外し湯を沸かして思い出させよう

連中に恐怖の味を思い出させてやる

連中に我々の鍋の音を思い出させてやる

 

夕食での優勝には奴らの哲学では思いもよらないことがある事を思い出させてやる

1000粒のたらこソースでパスタを喰らい尽くしてやる