2021年3月3日、タカラトミーから発表された新プロジェクト「マジカパーティ」。公式サイトを中心に様々な情報が公開され新たなホビーの誕生を目の当たりにした。その第一印象が
「これ売れると思ったのか?」
であった。
面白そうとかつまんなさそうとかでは無いのだ。これは売れない、売る気すらないのではないかという疑念が先に脳内を埋めつくしたのである。
肝心の商品内容なのだが、マジカというカードを使ったカードゲームである。このマジカには「驚愕のギミック」が仕込まれており、カードを削ると進化するのである。
この「削る」という部分なのだがマジカの表面がいわゆるスクラッチになっており、硬い定規か何かで削ることでより豪華なイラストや強い能力が出てくるというものなのだ。これを
「魔力解放システム(マジカイフォーシステム)」
と呼ぶ。正直この辺のセンスは嫌いではない。
ここまで読んだ決闘者諸君はこう思ったことだろう
カード痛まない?
このおもちゃ、カードゲームの体裁を取っておきながら、肝心のカードはキズモノにしなければ使い物にならないというコレクター泣かせの代物なのだ。パックから出た後のシングル取引のことは眼中に無いのだろう。そもそもこれはTCGではなく低年齢層を対象としたバトルホビーとして売り出されているため、我々のようなカードゲーマーは最初から蚊帳の外なのかもしれない。マジカパーティがデュエマ、WIXOSSと徒党を組む日は来ないのだろう。
しかしキズモノ上等の方針とはいえ、スクラッチギミックそのものは1回やって子供が飽きたらそれで終わりである。公式側はやたらプッシュしているようだが。
肝心なのはメインターゲットである子供(主に男児)に受けるゲームデザインかどうかであるが、どうだろうか。今を生きる私の精一杯のシミュレーションでは10年前の私は見向きもしなかった。イラストがなんというか可愛らしいのだ。端的に言うとダサい。そもそも2等身で男児を惚れ惚れさせるかっこいいキャラクターなど難しいに決まっている。ポケモンのライセンスでも貰ってくれば話は別だろうが。
わにすけかわいいね
私は今をときめく小学生男児では無いので断言はできないがこれは男児にウケるカードデザインでは無い。流行ったらそれは私が老害となった何よりの証拠となろう。
ではルールの出来はどうなのか。カードデザインはウケないとしてもルールがよくできていればゲームとして注目を浴びるのではないか。
ジャンケンである。
カード左上のアイコンでジャンケンをし、勝者は能力で攻撃力を上げる。その後攻撃力を比べて大きい方が勝ち。三本先取。
以上。
よく言えばシンプル、悪くいえば単調。魔法罠のようなカードもない。シンプルすぎて逆に忘れてしまいそうである。多少の駆け引きも発生することはするが、心理ジャンケン程度のもの。ゲームと呼ぶにはあまりにも粗末、完全におまけである。削ったあとの紙切れがゴミにならないための措置にすぎない。
総括すると
キズもの不可避のスクラッチ
ポップでかわいい2頭身キャラクター
申し訳程度のゲームルール
以上がマジカパーティについての知見である。これならゲームルールを消してウエハースをつけてコレクションカードとして売った方がいい気がするのは私だけだろうか。スクラッチギミックそのものは新しいし、一度体験しておきたいものではある。しかしカードバトルホビーとしてはあまりにも出来が悪いと感じる。
そんなマジカパーティが4月2日に予約受付を開始する。各レビュアーの案件動画も完成しており、私の敬愛するレビュアーの動画はひたすらパックを剥いてひたすら削って「うおー」とか「すげー」とか言うだけの思わず「まじか…」と言いたくなるような素晴らしい動画であった。どうも案件を受け始めてからレビューのキレが無くなった気がするがこれ以上はやめておこう。
自称タカトミの犬である私だがマジカパーティについては財布の紐が緩まなかった。私の稚拙な思考では至らないような策略が張り巡らされていること、このブログが老害の戯言になることを願って発売日を待つこととする。